昔はジャンプショットというのは邪道とも思われていた気がするのだが、近ごろはジャンプキューもいろいろ出ていてそれなりに定着したらしい。もっともそもそもジャンプショットは店で働いていたりプロであったりしなければそうそう練習できないから、素人的にはマスターするのは無理筋である。
とは言うものの球半分程度の高さを飛ばせればうれしい配置というのはけっこうある。そのくらいならプレイキューで可能なのだが、キューというかタップへのダメージもそれなりにある。特に近頃は積層のKamuiタップのSなんぞを使っていたりするからタップへのダメージはけっこう大きい。とはいうもののジャンプショット専用のジャンプキューを買うのは何か気が引ける。
ということで、ジャンプショットとブレイクショットの両方に対応するジャンプ・ブレイクキューでましなものがあれば買ってもいいかとキューケースを買いにThailand Pooltableに行ったついでに見てみたら、Cuetecの該当製品があったのだった。しかも今日・明日は3割引ということで、本来7,900THB (約27,000円)のところが5,250THB (約17,950円)。

Thailand Pooltableの説明によると以下のような感じである。
This jump/break Cuetec cue is black fiberglass over maple. Cuetec uses their own S.S.T. Super Slim 15-1/2″ Taper shaft with their exclusive Tru-Glide Finish, a 13mm Water Buffalo tip, and the ferrule is polycarbonate. The cue features a Veltex grip and the joint pins are a 3/8″-14 thread. A one-piece joint protector is included for the butt end of the cue. Standard 58″ long.
- Tip – 13mm Water Buffalo Tip
- Ferrule – Polycarbonate Ferrule
- Shaft – Hard Rock Maple Power Bonded with Fiberglass
- Taper – 15.5″ Pro
- Joint – 3/8″-10 Wood-to-Wood
- Rings – Thin Silver Trim Rings
- Wrap – Black Velvet Wrap (ベルテックスと呼ぶらしい)
- Butt Plate – Stainless Steel Plat
シャフトはTru Glide S.S.T.というCutec独自のファイバーグラスを木に巻き付けたもの。ハイテクと言えばそうなのだが、流行りのハイテクシャフトではなく、要するにもとの木材の低品質をカバーする、というタイプ。タップは当然ながらかなり固めということになっている。
日本ではCuetecは相当に評判が悪い。創業が1989年で、ファイバーグラスまたはグラファイトで固めるというコンセプトはその当時からずっとそのままである。たぶん1991年くらいにグラファイト版が日本にやってきて触ったことがあるのだが、まったく好きになれなかった。今でもグラファイト版はあり得ん、と思う。
ともあれ、シャフトがコーティングされている、というのが日本で評判が悪かった理由である。その上安すぎたというのもある。今でもほとんどのキューが2万円台なわけだし。アール・ストリックランドがスポンサー契約が切れたとたんにけなしまくったというのもあるのかもしれない。
かなりの細身だがえらくパワーがある
キューテック全般について言えることだが、このキューもバットがかなりの細身で、シャフトも先角から40cm程度は13mmのまま、という大変スリムなキューである。買った際に店頭で最初の試し撞きをしてみた際は「こんな細身でいいのか?」と改めて自問したくらいだ。
だが、ブレイクキューのバランスということも手伝っているのだろうが、その細身からは予想外にパワーがある。プレイキューとしても使ってみたが、シャフトがコーティングされていることも手伝っているのだろうが、見越しが少なく素直にキューが出る。もっともキレがあるかというとそうでもないんだが、パワーショットが気分よく撞けるというか。
一方、ジャンプショットはそもそも専用でないということもあるが、それ以上にジャンプキューなるものを使うのが初めてに近いので、いまいち感覚が分からない。基本的にジャンプショットはキューの最後の繰り出しがどれだけ速くできるかという点に大きく依存するわけだが、キューごとにその辺はずいぶん違うわけで、なかなかジャンプキューを買ったらすぐできるというわけでもないし。
一方、コーティングのためにシャフトがうまく(指を)滑らないというのが日本でキューテックのキューの評判が悪い理由で、実際、グラファイト版だとグローブはめないとやってられないという感じがあった。個人的には確かに指を通るフィーリングは歴然と違うのだが、滑らないという印象はない。ま、ちゃんと手入れした木製シャフトに比べるとざらざらしているよなとは思うのだが、ハウスキューなんぞに比べれば月とスッポン。
結局、まだ数を撞いたわけではないが、安いキューの中ではCuetecというのは工業製品として安定している気がする。大味だな、とは思うが、そう悪くない。